南極氷の溶解、崩落
99/04/14 更新

  南極の氷は南極大陸の東と西に別れて、「氷庄」と呼ばれる巨大な氷山が有
り、これらが「ロス棚氷」と呼ばれる巨大な氷板でつながっています。
南極の氷山は岩盤の上に乗っている状態で存在するのですが、巨大な重量の
為、圧力で底部は液化しています。微妙なバランスで大陸に乗っている氷山
なのです。

1987年にこの「ロス棚氷」の一部が流出しました。千葉県に匹敵するサイズ
です。その後再三の流出が有り、現在、17基以上の流出が確認されている
そうです。

南極の氷山は、日本の国土の約40倍の底面積を持ち、最大4500M、平
均2500Mの厚みがあります。日本アルプスが3000M級ですからこれら
南極の氷山の規模は大変なものです。

現在、流出している一部の「棚氷」は本当に「氷山の一角」です。しかし、
この棚氷は東西の巨大な「氷庄」をつないでいる役目の部分でもあるのです。

フライパンに乗っているバターのような状態の「氷庄」が、棚氷の崩落でバ
ランスを崩してしまいますと岩盤から滑り落ちる可能性が大です。

南極の氷が全部流出すると、海面が70M上昇するといわれています。それ
以前に、巨大な氷塊が海洋に滑り落ちると数十メータークラスの津波が発生
するでしょう。数十メータークラスの高波が時速300KMで沿岸を襲うのです。

こうなれば被害は甚大です。沿岸に存在する原発が、コンビナートが、、、
崩壊してしまいます。
石油コンビナートが崩壊してしまったら昨年の日本海のタンカーどころでは
すみません。海洋の大部分が油膜に覆われしまい雨が降らなくなります。

さらに、大気中の温室効果ガスである「二酸化炭素」を海中に固定できなく
なります。こうなれば超加速度的に温暖化は進み、雨が降らないのですから
地球規模の砂漠化が進んでしまいます。「マッドマックス」の世界です。
SFの世界の話ではなく、見えていないだけで目の当たりの現実の話です。

原発に関しては想像を絶するほど論外です。

最後の氷河期が一万年前に終わり、約一万年間安定していた大気中二酸化
炭素濃度280PPMが、産業革命以来たった200年で360PPMに増えました。
詳しい理屈は省きますが、この事が意味するのは近いうちに地球平均気温が
約4度上昇するという事です。

1994年発表の日本の環境庁の予測では「今後100年以内に平均気温が
3度上昇する。」という事です。
すでに過去100年間の間に 0.5度上昇しています。
赤道近くでの気温変化は少ないのですが、極近くでは大きく現れます。
平均気温3度上昇すると、赤道近くでは0〜1度、北極や南極では10度以上
の上昇
が予測されるとのことです。

暖かくなって良いというレベルの問題ではありません。極の氷が溶けてしまう
のです。もちろん、氷だけの問題でなく、冷暖房のシステムを持たない、人類
以外の動植物たちの生活圏が脅かされるのです。

当然の事ながら、絶滅種も加速度的に増えます。穀倉地帯にも大きく影響
します。

いくら資金力が有っても「米」すら買えなくなるのは必至です。

自然界からすれば、思いっきり無意味な学歴社会の為に、子供たちに湯水の
ごとく資金を投入するよりも、生命の尊さ、自然の美しさを知ってもらうための
教育に資金をかけるべきではないでしょうか?

二酸化炭素は生物が呼吸する事と火を使う事で発生します。
人が呼吸する事によって発生する二酸化炭素量は1日約150g
自動車が50リッターのガソリンを使い切ったとして約150kg。実に人の呼吸
の千倍
です。

燃えるごみの焼却、火力発電による電力の使用など、文化的な生活は大量の
二酸化炭素を発生させます。

かといって、ダムを使った水力発電が地球にローインパクトだとは言えませ
ん。巨大な建造物で無理矢理河川を塞き止めるのですから、自然界に影響
を及ぼさない訳がありません。人工的に無理矢理変えられてしまったことで、
生態系が破壊され、自然の浄化能力を失ってしまうのです。

この問題に関しましては、また別の機会に触れていこうと思っています。

好気性代謝を行なう生物全般が酸素を必要とし二酸化炭素を発生します。
しかし、人類は基礎の代謝以外にも、二酸化炭素を発生させます。

我々豊かな先進国では、一日一人あたり約30kg、開発途上国の人たちは
約2kgといわれています。

世界人口57億人のうち、先進国10億人で、貧しい人たち150億人分の
二酸化炭素を発生させている計算になります。

私は独身時代電気代一月約3万円消費していましたが、現在夫婦で一万円弱
の消費に押さえています。マイカーは手放し、必要なときレンタカーを借り
るようにライフスタイルを変えました。それでも文化的な生活は十分維持し
ています。まだまだ削れるのでしょう。

ちなみに、石油の埋蔵量は現在の消費速度で後38年分と試算されています。
エネルギー自給率10パーセントの我が国では後何年ストーブが使えるので
しょう?

お金があっても灯油さえ手に入らない時代はすぐそこまで来ているのです。

そこで、エネルギー自給率が低いからといって原子力に頼るべきでしょうか?
エネルギーの消費(炭素消費)を押さえれば、原発無しでも生活は出来ると
思います。

文明に生きる私たちには、お金の無い原始的な生活をする事は残念ながら
難しいと思います。しかし、無駄を減らし、エネルギー消費を押さえ、生きた
お金の使い方を考えていけば、きっと地球と共存していけるはずです。

1912年、豪華客船タイタニック号が沈没しました。氷山に衝突し、浸水
が始まったにもかかわらず、多くの乗客は「この船は絶対に沈まない」と信
じ、宴会を続けていたそうです。

現状の「地球号」にダブって見えないでしょうか?

                            参考資料:「地球村宣言」他

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