「石けんノート」  −健康と地球環境のために− より転載
発行 : 太陽油脂株式会社  家庭品部

原文のまま転載の為、敬称は省略させて頂いております。
文字サイズ、カラー、改行位置は変更あり。
太陽油脂株式会社 武藤様  転載許可感謝致します。


魚と海と合成洗剤

〈1998年9月 国民生活センターでの講演録〉
太陽油脂株式会社 家庭品部部長 長谷川 治

今年の5月、北海道釧路市の東北に位置する厚岸町に行ってきました。この町にある厚岸湖では、
以前はカキやホタテが沢山とれたのですが、森の木を切りすぎたために川の水質が悪くなり、また
合成洗剤が多量に湖に流れてカキ等が育たなくなってきました。
これを何とか回復させようと山に
植林
し、また合成洗剤をやめて石けんを使おうと町ぐるみで運動をしました。

8月には、香川県の高松市を始め、県内を回ってきました。

香川県は日本で一番雨量の少ない県で、車で走っていると道路の左右に水を溜めた溜め池がいっ
ぱいあります。昔はこの溜め池を飲料水にもしていたそうですが、今は汚れて飲むには適さなくなっ
ています。

市長さんはこの溜め池の水を汚さないために、そして最終的には瀬戸内の海を汚さないために、
新しく生まれる赤ちゃんに粉石けんをプレゼントすることを自ら提案し、高松市として実施されている
そうです。この市長さんは赤ちゃんばかりでなく、市から表彰する人への記念も環境に役立つ物に
変えていきたいとおっしゃっていました。

厚岸町や高松市のように、合成洗剤をもう一度見直してみる必要があるのではないのでしょうか。
全国の川、海を汚している
ことがだんだん分かってくると思います。

東京湾の合成洗剤汚染

昨年、「洗剤環境科学研究会」という学会で東京農工大の高田秀重先生が、東京湾と東京近辺の
川の汚染状況を発表しました。

この(図1)を見てもらえば分かるように、1972年当時はMBAS濃度
(メチレンブルー活性物質、合成洗剤の中に含まれている界面活性剤の濃度)
が0.1ppm程度だったのが、1985年以降は1〜3ppm近く濃度が上がってきています。




図2)では、東京湾の海の底を掘って、その中に日常家庭で使っている合成洗剤の中の直鎖アル
キルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)
がどれくらい入っているかを確かめました。すると、
200ナノグラム/グラムという高い数字。つまり0.2ppmという数字が東京湾の海の底に残っていた
のです。


合成洗剤は何となく悪いと分かっていますが、しかし、日本では90%の人が合成洗剤を使っていま
す。なぜこういう結果になっているのか。その辺をこれから少し解明していきたいと思います。

最近の新聞によりますと、いわゆる環境ホルモンがすっかり有名になりましたが、その原因は何で
しょうというアンケートを一般消費者からとった結果、1番目がダイオキシン、2番目が農薬、3番目
合成洗剤でした。それほど合成洗剤は環境ホルモンになるらしいし、何か問題もあるらしいという
ことは認識されているわけですが、現実にはいつの間にか使ってしまうのです。

 
 
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